症例検討会 Case Conference

第 30 回日本小動物歯科研究会症例検討会・特別セミナー

ZOOMウェビナーによるライブ配信

配信期間
2022 年 3 月 21 日(月・祝)9:00〜17:00

見逃し配信

配信期間
2022 年 3 月 26 日(土)正午〜4 月 4 日(月)17:00

質問と回答

3. 多用途型歯垢・歯石検査用ライトの開発

網本昭輝(日本小動物歯科研究会 / アミカペットクリニック)

Q
ブラックライトと通常のライトの切り替えは画期的だと思いました。 できれば超音波スケーラーの先端に仕込んでいただけるようなメーカーさんに働きかけていただけることができればすごく使いやすいのではないかと思います。
A
ご質問ありがとうございました。 スケーラーの中に入れる電球にこの波長のLEDが使用できれば、可能だと思いますが、現在のものは電球が一つしかないため、電球が使用できたとしても、切り替えは現時点では難しいと思います。しかし、興味あるご指摘ですので、今度メーカーの人にお会いしたときに、提案してみます。

3. 多用途型歯垢・歯石検査用ライトの開発

網本昭輝(日本小動物歯科研究会 / アミカペットクリニック)

Q
皮膚糸状菌検査への応用の部分について伺わせてください。今回の新型ライトと従来より皮膚科領域で通常使用されているウッド灯との検出率の比較などはされているでしょうか?たしか従来のウッド灯も一部の糸状菌(Microsporum)のみでしか発光を検出できなかったと記憶していますので、今回の「出たり出なかったり」という結果もライトとしての機能が低いということではなく、そもそも発光検査自体の限界と言うことも考えられるとおもいます。もし比較をして波長や光量などの違いがあっても検出率に差が見られなければ、よりこの新型ライトの有用性(ウッド灯とも兼用可能!)をアピールできるのでは無いかと思いました。
A
ご質問、ご指摘を有難うございました。 実際にはウッドライトの方が検出率がいい感じがしました。ウッドライトの波長は 365 nmで歯垢歯石検査用ライトは 405 nmです。基本的には波長がかなり異なるのですが、歯垢・歯石検査用ライトでも光るものがあります。光るものがどの種類の真菌かの確認はしておりません。 両方を合わせて作ったライト試作し使用しましたところ、それが一番いいように感じましたが、コストの面など考えて、現時点で開発を休止しています。 現時点でもしも皮膚の検査に使用するとすれば、ライトの検査と他の検査の併用が必要と思われます。 他にエキゾチックアニマルのポルフィリンを含む尿の検査、皮膚の検査(細菌検査(緑膿菌ほか)、皮膚の壊死)で使用できそうな場合もあるのですが、まとめるには至っておりません。

7. 軟口蓋に発生した悪性黒色腫の犬の 1 例

三宅宏幸(倉敷動物医療センター / アイビー動物クリニック)

Q
軟口蓋の再建についてご意見をお聞かせください。頬粘膜を用いた再建術がうまく行かないことがあるので今回の硬口蓋の反転を行ったとありましたが、結果としては残念ながら脱落してしまったとのことで、硬口蓋を用いた方法をどのように評価されていますでしょうか。次回同様の状況に遭遇したとき、やはり再度硬口蓋を用いるのか、頬粘膜に戻るのか、または考察のところで軟口蓋がなくても給餌法の工夫で比較的良好にコントロールできたとのお話しもありましたが、再建に固執しないという考え方もあるのか、3 つのやり方の順位のようなものがあればお聞かせ頂ければと思います。また併せて、次回硬口蓋を用いた場合に次はこうしてみようといった工夫点があれば教えてください。
A
ご質問ありがとうございます。 硬口蓋を用いた再建についてですが、次回同様の症例に遭遇した時には再チャレンジすると思います。 その際はできるだけ余裕を持って口蓋粘膜を剥離してルーズにした状態で、口蓋粘膜を縫合する際に強い牽引力がかからないように工夫すると思います。また軟口蓋の全域を整復しなくとも、フラップにテンションがかからない程度で再建するのも良いかと思います。 また、軟口蓋再建についてですが、やはり症例のQOLを少しでも良い状態で保つことを考えると再建はチャレンジするべきだと考えます。よって順位をつけるとすれば ① 口蓋粘膜フラップ→② 頬粘膜→③ 再建無しと考えます。

10. フザプラジブナトリウム ブレンダZ ®による猫の難治性口内炎治療の使用例

井嶋陽子(北星どうぶつ病院)

Q
演題に関わる質疑の中で、藤田先生がお話しされていた内容に関してお願いいたします。全薬さんが行ったとされる経口投与の方法を教えて頂きたいです。 また、演題の症例では臼歯抜歯は行っていませんでしたが、全臼歯もしくは全顎抜歯を行った上で良化したとは言い難い症例にも効果が期待できるのかどうかも併せてご教示頂けたら幸いです。
A
日本全薬工業さんとしては粘膜吸収の動態を確認する試験は実施していないとのことです。ただし、低分子であることをなどから理論的には粘膜吸収すると考えられるとのことを、伺っています。 また、ブレンダの抗炎症効果は高いので全臼歯もしくは全顎抜歯でも良化しない悩ましい難治性口内炎も、ある程度効果が出ると思います。ブレンダ単独使用だけでなく、既存の治療にプラスして使う方がより良いと思います。 ただ、認可外使用であり、猫へ投与回数は犬より必要で、高額になりますので、飼い主様へのご説明、ご理解が難しいかもしれません。

アワード

今年も症例検討会においてライオン商事株式会社様とマースジャパンリミテッド様のご提供により各アワードが決定されました。なお、今年は、奨励賞において審査結果が同点であったためにそれぞれ 2 演題ずつになりました。受賞された先生方、誠におめでとうございます。今後とも優れたご発表をお待ちしております。この結果がおのずと今後の獣医学の発展に寄与するものと確信しております。